オリオンシリウス水彩画紙のレビュー

シリウス水彩画紙 オリオン

水彩紙「シリウス水彩画紙、SIRIUS Drawing Book」をレビューします。シリウス水彩画紙は株式会社オリオンの製品で、特厚口(220g)です。特厚口といっても、300gと比べると、一見薄口のように思われますが、実際手に取ってみると、中厚口の紙で、300gの水彩紙と比べると薄いです。

主な特徴

画用紙のワンランク上の位置づけとされているのがシリウス水彩画紙。紙面強度があるので過酷な消しゴムにも強く、絵具の発色性も鮮やか。紙肌は鉛筆の乗りが良く、色は最も自然なナチュラルホワイトのオリジナル水彩画紙です。
パステル、コンテにもお奨めです。(カタログより引用しました)
  • 220g/m2
  • 中性
  • ホワイトとナチュラルの中間色
  • 無蛍光
  • SMからF10まで
  • おそらく日本製

紙の特徴

特厚口なんて謳ってますけど、水彩紙の中では中厚口でしょう。シリウス水彩紙のロール紙は特厚口のほかに超厚口(242g)とちょっと薄い紙(162g)もあるようです。ちょっとわからないのが、このスケッチブックの正式な商品名です。カタログには「無蛍光水彩画紙 シリウス」と書かれていますが、実際の表紙には「SIRIUS Drawing Book」と印刷されています。そしてオフィシャルサイトではなぜか画用紙に分類されており、水彩紙の紹介カテゴリに入っていません。

シリウス水彩画紙の紙質の詳細

無蛍光水彩画紙 シリウス(シリウス スケッチブック水彩紙)の紙の色は、無蛍光ですのでややナチュラル寄りの白です。絵具の吸着は良好ですが、水彩紙のナチュラル色が発色を妨げていますので、少々グレーがかった発色になります。そこがこの水彩紙の最大の不満であり、それ以外は文句はありません。表面は弱いので、消しゴム耐性は皆無であるかわりに表面をナイフで削って色を落としたり表現する方法は可能です。

価格はマルマンオリーブといい勝負ですが、水彩紙として見た場合、 無蛍光水彩画紙 シリウスのほうが上等です。表紙も堅牢でカルトンを兼ねます。

シリウス水彩画紙の消しゴム耐性はなく、表面は弱くて消すと紙が剥がれましたので、削って消すのは便利でも、早くページがしまえないかな~と思ってます。買ってすぐに後悔しましたが・・・私の画力ではこの程度の水彩紙で十分だな、とも思いました。私みたいなド素人でも、描く意欲が削がれる、それがシリウス水彩画紙の特徴です。シリウス水彩画紙にしてからスケッチを怠けちゃって一年くらい何も描いてません。みなさんにはあてはまりませんけど、私だけに生じている問題ですので気になさらないでください。

発色とにじみやぼかし

ではさっそく私も下絵の作成に現在使用中のシリウス水彩画紙のレビューを行いたいと思います。シリウス水彩画紙はスパイラル綴じになっており、マルマンオリーブに次いで安価なスケッチブックです。
水彩紙レビュー:オリオン シリウス水彩画紙 特厚口 220g
水彩紙レビュー:オリオン シリウス水彩画紙 特厚口 220g
(iPad Pro 9.7インチの明るさ50%に最適化しており、安物の液晶モニターでは実物より低彩度に見えるはずです。)

左から、ホルベインの透明水彩絵具、キナクリドンマゼンタとイミダゾロンイエローとフタロブルーイエローシェードを塗りました。

シリウス水彩画紙の表面は中目と書いてありますが、実際は細目で植物画にも使えます。ホルベインの三原色を試しに塗ってみたところ、シリウス水彩画紙の色に透明水彩絵具の色が負けている印象を受けました。

黄色については、蛍光灯の下で見ても境界が明瞭に見えません。絵具をぼかしたときには、ほとんど薄い色になってしまい、一眼レフカメラのセンサーじゃないと色の境界がわからないくらいです。人間の目にはちょっと見づらいかなぁと思います。

うーん。そうですねぇ。発色に関しては・・・ナチュラル系のミューズランプライトよりはっきりしています。そしてナチュラル系のウォーターフォードナチュラル中目と比べると、マゼンタの発色はなかなかいい勝負ですが、黄色と青色の発色は薄いです。もしかしたら赤系の彩色に優れるかもしれません。黄色の発色は紙色のナチュラルとかぶってますので目立ちにくい気がします。青は濃く塗れば何とか見られる感じで、全般的に厚塗りしないと見栄えしない水彩紙といえましょう。シリウス水彩画紙について、特筆すべきことがあります。それは絵具のにじみに独特の風合いが出る特徴があります。ミューズランプライトほどではありませんが、絵具を塗ったところに細かい気泡のような塗り残しが出ます。

水彩紙レビュー:オリオン シリウス水彩画紙 特厚口 220g拡大写真
水彩紙レビュー:オリオン シリウス水彩画紙 特厚口 220g拡大写真
(タップして等倍になります)

紙の写真を実物以上に拡大してみると、薄い色が発色していないのがわかります。このオリオン株式会社のシリウス水彩画紙の特徴は、濃い色は乗るけど、薄い色は乗ってるかわかりづらいところに特徴があるように思います。透明水彩を塗った面に紙色が細かい点となって見えています。絵具のぼかしの風合いは非常に淡いです。

発色に関してはバンブー高級水彩紙より一段階落ちるといった感じで、「ハーネミューレ・バンブー・ミクスドメディア水彩紙」と似たような傾向であることは特筆すべきことのように思います。同系統といってもよいでしょう、バンブーの劣化版とでもいいましょうか、安いから仕方ありませんが、初心者(といっても絵画の勉強をはじめてから15年以上経過しています)の私にはわずかな違いであるように思えます。

絵具のにじみは、堅めです。拡がりにくいので、筆で引っ張ってやらないといけない感じです。

所感

同じオリオン株式会社の水彩紙と比較しますと「アクリルデネブ水彩紙」のほうが発色は断然良好です。同社の「ワーグマン」はまだ手にしたことがないのでわかりません。どちらかというと「シリウス水彩画紙」は水彩画よりも版画、あるいは黒や茶色を基調として彩は添える程度の彩色に適してるんじゃないかと思えてなりません。

それと、裏面は極細としてスケッチに使えると思います。
  • やや中厚口
  • 中上級者向き
  • 裏面は極細
  • 発色はシックでマットで赤は強く出るが黄色と青は弱い
  • にじみ弱め
  • 表面は弱いがきめ細かく整っている
  • 安価なので下絵に使える
  • ダークな表現には問題ないが鮮やかさを出すのには不向き
  • 表紙が厚いのでカルトン不要
  • マルマンオリーブと比べると紙がナチュラル色寄り
  • 紙の保存性はマルマンオリーブより高いと思われます
私のレビューではこんな感じです。

シリウス水彩画紙の通販のご案内

シリウス水彩画紙のレビューが参考になりましたら下記よりお買い物していただければ、また水彩紙を詳しくレビューしようという気力が湧いてきます。
オリオン シリウス 水彩画紙ブック DR-F10 No.331
私も今現在このシリウス水彩画紙をスケッチブックとして作品の下絵用に使用しています。価格も2千5百円未満(送料込み)で紙が18枚ありますので裏面も使用しますと、これがなかなか減ってくれないのです。1枚当たり、約140円と安価な水彩紙で、練習用にたいへんおすすめの水彩紙です。ただこのやる気がなくなりそうな表紙のデザインは、イマイチですが、マルマンオリーブの表紙と比べると表紙に耐光性があるようで、あまり退色してない気がします。
オリオン シリウス 水彩画紙ブック DR-F6
卓上の小物のお絵かきに便利なF6サイズです。

オリオン シリウス 水彩画紙 ロール 特厚口 (1560mm×10m) No.805
10メートルで7千円台はかなり安い水彩紙といえましょう。紙代よりも水張り用のパネルの代金のほうが高いのではないでしょうか。