透明水彩の技法(実演)

はじめての透明水彩の技法を実演で紹介します

透明水彩には、さまざまな技法があり、透明水彩の技法をしれば絵画での表現の方法も増えます。試しに透明水彩の技法を使ってみましたので、参考になれば幸いです。

水彩画の基本、ウォッシュとは?

ウォッシュとは、たっぷりの水で溶いた絵具で薄く面を塗る方法です。みなさんが無意識にやってることで、特に技法というほどのことではありませんので、ここでは省略します。ウォッシュは作品全体の雰囲気づくりに利用します。ウォッシュのコツは、薄い色で塗ることで、濃い濃度のまま色を塗ると失敗しやすいです。

透明水彩を塗り重ねる技法(ウェット・オン・ドライ)

ウェット・オン・ドライとは、水彩紙に透明水彩絵具を塗り、いったん乾燥を待ちます。その上にさらに透明水彩絵具を塗り重ねる技法です。技法というまでもなくみなさんも無意識のうちに実践されておられることですが、この塗り重ねの具合が難しく、美しく塗り重ねる方法がわかれば苦労はありません。

透明水彩の技法 塗り重ね1
水彩紙はすべて安価なマルマンArt spiral使用しています。

透明水彩の技法 塗り重ね2
透明水彩で黄色を塗り重ねると、黄土色に、緑を塗り重ねると、暗い緑色になりました。

塩で透明水彩絵具を吸着させる技法

塩が持つ吸水効果を狙い、透明水彩絵具が乾かないうちに、塩を塗ったところに撒きます。そして透明水彩絵具が乾燥したら、塩を払いのけます。使う塩の種類や量によって効果が変わるか試してみましたので、参考になれば幸いです。

透明水彩の技法、塩を使う方法
透明水彩の技法、塩を使う方法。

透明水彩でマスキングをする方法

水彩紙の上にマスキング液やマスキングテープを貼り、その上から透明水彩絵具を塗って乾燥後、マスキングを剥がすという方法です。いわゆる「白抜き」というコミックでも使われる方法で、最も明るい部分を残したり、塗り重ねた色が水彩紙に付かないようにする方法です。マスキング液を塗る際には、綿棒やつまようじや割りばしなどの使い捨ての道具がおすすめです。マスキング液に筆を使うと筆が一瞬にして台無しになります。

透明水彩の技法、マスキングで筆にマスキング液が固まる
透明水彩の技法、マスキング
筆にマスキング液が一瞬で固まる
マスキング液を使ったのは、今回が初めてでした( ;∀;)
クサカベ 画用液 マスク液 70mlホルベイン 水彩用メディウム マスキングインク W466 55mlがおすすめです。

ホルベイン 水彩用メディウム マスキングインククリーナー W477 40ml私もこれを買っておかねば・・・。

透明水彩の技法、マスキング、マスキング液の上に透明水彩絵具を塗る
透明水彩の技法、マスキング液の上に透明水彩絵具を塗る

透明水彩の技法、マスキングをラバーや消しゴムで剥がす
透明水彩の技法、マスキングをラバーや消しゴムで剥がす

水彩紙まで一緒に剥がれてしまいました。マスキング技法をお使いになる際は、マルマンオリーブのように表面がけば立っていない水彩紙のほうがよさそうです。

透明水彩のたらし込み技法(ウェット・イン・ウェット、バック・ラン)

下の絵具が濡れて乾かないうちに、次の色を投入する技法です。画面上での混色効果があるなど、偶然の波紋を生かしたグラデーション表現が可能です。塗りたての透明水彩の上に透明水彩を塗るとウェット・イン・ウェット、半乾きの透明水彩絵具の上い透明水彩や水を塗るとバック・ランと言うそうです。
透明水彩技法、たらし込み
透明水彩技法、たらし込み技法 ウェット・イン・ウェット

透明水彩技法、たらし込み2
透明水彩技法、たらし込み技法2 ウェット・イン・ウェット

透明水彩技法 バックラン
透明水彩技法 バックラン(たらし込み技法)

バックランはウェット・イン・ウェットに比べて塗り重ねた透明水彩絵具が勢いよく流れます。私もバックランは意識して使ったことのない技法でしたが、思えば偶然バックランになることもよくありました。

透明水彩のぼかし技法

透明水彩のぼかし技法にはいくつかあり、水彩紙が絵具で濡れているうちに、水で濡らした筆で絵具を拭ってぼかす方法と、透明水彩が乾かないうちに、乾いたブラシで絵具を拭う方法、そして透明水彩絵具が半乾きまたは全乾燥後に濡れた筆で拭う方法など、さまざまな方法があります。
透明水彩技法、ウォッシュとぼかし
透明水彩技法、ウォッシュ(ぼかし)

透明水彩の技法、リフトアウト(絵具の除去)

リフトアウトとは、透明水彩を塗った後に、湿らせた筆で絵具をなぞって取り除く方法です。完全に乾燥しないうちに透明水彩絵具をリフトアウトすると、柔らかな境界になります。紙をこすりすぎると傷みます。

透明水彩技法、リフトアウト
透明水彩技法、リフトアウト

Art spiralは表面強度が弱く、リフトアウトするとこのようにボロボロと紙がめくれてきましたが、練習にはちょうどよい水彩紙です。

透明水彩の技法、グラデーション

最後に紹介しますのは、透明水彩のグラデーションという技法です。仕組みはウェット・イン・ウェットとほとんど同じです。塗りたての透明水彩絵具の隣あたりに、グラデーションにしたい色を塗り、間を偶然の変化に期待したり、水筆でなどでなじませます。

透明水彩の技法 グラデーション
透明水彩の技法 グラデーション

ほかにもある、透明水彩の技法

乾いたところを尖った物で削り取るスクラッチや、歯ブラシと網などを使って絵具を弾き飛ばすスパッタリング、そしてエアブラシを使う方法や乾いた筆で絵具を擦るドライブラシという技法などがあります。もちろんオリジナルの技法で透明水彩を描くことも可能です。
マルマン F3 スケッチブック アートスパイラル 24枚 厚口画用紙

今回透明水彩の技法の実演で使用しました水彩紙は「マルマン F3 スケッチブック アートスパイラル 24枚 厚口画用紙」です。F3は、大体B5のノートとほぼ同じ大きさでA4より一回り小さいので透明水彩の練習や色の確認用に扱いやすいスケッチブックです。

時間をかけて技法の見本を作りましたので、記事がよろしければ、アマゾン楽天市場などでお買い物していただければ金額の1%程度が筆者の収入となりますのでとても助かります(月数十円ほどしかありませんけど、いつも楽しみにしています)。

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